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アンビバレントなメゾン [ちょっと評論家気取り]

これ、コピーだけ聞いて、何のことかピンときます?
“アンビバレント”という言葉を知っている知らないに関係なく、何のことやら分からないと思うのですが。

正解はこれ→ http://www.takashimaya.co.jp/shinjuku/grandbloom/

説明を読んでみて広告のコピーを解釈すると、新宿高島屋は新装するにあたり、

☆ 各フロアをそれぞれ「メゾン=家」に見たてている。

☆ それぞれのフロアには、「男と女」「伝統と現代」「和と洋」「マチュアとヤング」の様に、対立する2つの価値観をテーマにした商品のディスプレイを行っている。

と、まあ、こんなところらしいのですが、

“アンビバレント”って、こういう使い方する言葉じゃないでしょ!?

違和感バリバリ感じるのは僕だけですか?

アンビバレントって、もともと心理学用語で、心の内面を表す言葉でしょ。
八代亜紀が歌う「雨の慕情」の世界だよって言うと、分かってもらえる気がしますが、
♪ 憎い〜、恋しい〜、憎い〜、恋しい〜、巡り〜巡って〜今は恋しい〜♪♪ みたいな、自分の心の中の愛憎などが相半ばする心理状態のことを“アンビバレント”というのだという理解でしたから、デパートの売り場がそれぞれアンビバレントなんですよ〜と言われても違和感を覚えてしまうのですよ。

そのような、売り場のコンセプトの二面性を訴えるコピーだったら、これを真似して“プルリエル”にすれば良かったのに。


http://www.citroen.co.jp/products/pluriel/

まあ、僕も言葉の専門家じゃないから、アンビバレントの使い方の正確なところは分かりません。
仮に言葉の使い方が不正確であろうと、違和感を感じる人がいようと、広告が注目されて、広告効果が上がれば良いという考え方もあり、そのような考え方からすると、僕も広告のねらいにしっかりハマった1人なんでしょう(苦笑)

しかし、広告効果さえ上がれば良いという考え方は、今はやりの、CSR (corporate social responsibility) に反している、と言っては言い過ぎでしょうか。


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コメント 4

かじかじ

全くおっしゃる通りです。
しかも、デパートだったらグラン・マガザン(le grand magasin)ですし。
アンビバレントとは、同時に「同一対象」に対して2つの互いに矛盾する感情を持つ事であり、それこそ演歌の「恨みま〜す〜」的な感情ですよね。
コンセプトが異なる品物を一堂に展示する事は別にアンビバレントでも何でもなく、単に万人向けという事であって、一般的なデパートであると言っているに過ぎない様な気がします。
表面上おしゃれそうでいて実は知性のない下らないコピーをひねり出す広告屋も、またそれを「ナウい!(死語)」とか評価してそのまま用いる広告主も、「醜い国」の仲間達ですね...。
by かじかじ (2007-04-11 05:35) 

あめちん

かじかじさんが、同じ言語感覚を持っていてくれて、安心しました。
それにしても、高島屋のトップがよくこんな illiterate の極みと言うしかない広告コピーを許しましたよね。
by あめちん (2007-04-11 13:44) 

PSW

まったくまったくのまったくで同感しています。
ちなみに私は精神科領域で援助を職業としています。
患者さんや周囲の対人関係を評するときに「アンビバレント」という語を用いることがあります。
なもので、何故ゆえにフロアコンセプトとして遣われるかが理解できません。
て、「買いたいけど買うわけにはいかない」という心境ならば購買不可能なフロアになっちゃいますよね・・・
日本の横文字感覚って相当、特殊ではありますが
いくらなんでも「やりすぎ・おかしすぎ」って思っちゃいました。
by PSW (2007-04-14 20:25) 

あめちん

PSWさんへ

大いなる同感表明、とてもうれしく思います。ありがとうございました。

ちなみに、PSWさんは、それが略称のご職業なのですね。
医療の世界で仕事していると、おそらく普通の仕事以上に、どういう判断・行動をするべきなのだろう?と、それこそ ambivalent な場面に直面する気がします。
by あめちん (2007-04-15 00:48) 

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